うたいおどる言葉、黄金のベンガルで

佐々木美佳 (著)

合言葉は「チンタ・ナイ(心配ない)」! 映画『タゴール・ソングス』で注目の映像作家・文筆家が綴る、ベンガル愛あふれるエッセイ

内容紹介
コムアイさん推薦!
「自転車で古墳を巡っていた少女がベンガルで映画を撮ることになるのは必然だったのか。」

高校の教室で天啓を浴びて天竺を目指した少女は、「チンタ・ナイ(心配ない)」を合言葉にインド・西ベンガル州とバングラデシュを駆け巡り、ベンガル文化を日本に伝える紹介者となった。
リクシャで爆走するダッカ市街、とても「sweet」なベンガル語と力強いヒップホップカルチャー、嵐の沖縄で思い出すコルカタの雨季、惜しみなく愛情を注ぎ合うベンガルの友人たち、自分たちの言葉を守るために流された血……。
映画『タゴールソングス』の監督としても注目を集める著者がベンガルへの愛と驚きを込めて綴った、16のエッセイ。

<本文より>
 旅の醍醐味というのは人それぞれだろう。私にとってのそれは「乗り物に乗ること」だ。見慣れた街並みを離れ、異国の風景に身をひたすことで、普段は考えも及ばない人生のあれこれに思いをめぐらせることができる。旅先で感じる風や、普段出会わない人々からの刺激を受け、自らが新しく蘇るような感覚を、乗り物に乗っていると得ることができる。
 さまざまな思いを抱えた旅人は、旅の始まり、飛行機の窓を見つめる。蛇行する川と緑の大地が一面に広がるベンガル地方の風景に、旅人であるあなたは胸を躍らせるだろう。バングラデシュの玄関をくぐると、慣れない街と人々の熱気に囲まれ、日本では経験したことのないような衝撃を覚える。異国の強烈な歓待の興奮が冷めやらぬ中、旅人は事前に手配したホテルのタクシーに乗り込む。クラクションの喧騒とじんわりとまとわりつくようなダッカ特有の湿気を感じながら、これから出会う土地と人々に思いをめぐらせる……といった具合に、「移動」という装置には物語を推進させる力があり、実に映画的である。
 右記の文体で物語を書き進めれば、二十一世紀版『深い河─そしてベンガル湾へ』が誕生し、ベンガルの大地でさまざまな運命が交錯する小説がベストセラーになるかもしれない。
 しかし私がこの文章を書く目的は、そこではない。「リクシャ」という乗り物の、トリックスター的な側面、物語をぶった切って、思わぬ方向にあなたを導く可能性があるという「乗り物」らしからぬ不確実性に、焦点を当てたいのだ。言い換えると、前述のような甘美な時間を「リクシャ」がもたらしてくれるものではないということを、あらかじめ読者のみなさまに警告しておく。 (「チケット・トゥ・リクシャライド」より)

出版社 ‏ : ‎ 左右社 (2023/2/21)
発売日 ‏ : ‎ 2023/2/21
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 224ページ

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