自分らしく生きて、逝く

清田 武俊 (著)

振り返ったとき、
素敵な人生だったと誇れるように――

30年患者を看取ってきたかかりつけ医が考える
幸福に逝くための心構えと準備

具合が悪くなったら、パジャマのまま、スリッパのまま、
いつでも普段着でお越しください――
これは著者のクリニックのホームページで呼び掛けている言葉です。
地域に根ざしたかかりつけ医としていつでも、すぐに頼ってもらえる身近な信頼関係を
大切にし、患者の最期の瞬間まで伴走することを心がけているといいます。
日本ではかつて自宅で看取ることが一般的で、1951年は82.5%の人が自宅で最期を
迎えていました。しかし、1977年には病院で死亡した人の割合が多くなり、
2015年には自宅で亡くなった人が12.7%まで減っています。
一方、2017年の調査によると約70%の人が自宅で最期を迎えたいと考えており、
人生の最終段階の形が本人の希望と一致していない場合があることが分かります。

著者は大学卒業後、大学病院勤務を経て、地域医療にかかわりながら
病院経営に従事したいと考え、当時「老人病院」といわれていた熊本県内の病院の院長に
就任しました。そこには人工呼吸器などの機器や点滴の管につながれた
お年寄りたちのベッドが並び、家族や友人の見舞いもほとんどないまま、
ひっそりと最期を迎えていたのです。
そうした場面に立ち会うたび、死の迎え方がこのような形でいいのだろうかと
著者は疑問を抱くようになったといいます。
患者が望む形の最期を支えたい、患者に寄り添う医療を実現したいと思った著者は、
1992年に熊本で開業。クリニックを病気のときだけ訪れる場所にせず、
地域住民の交流の場として活用し、心身の変化・不調の原因や対処法、
看護・介護の現状とあり方などを定期的に学べる機会を創出しました。
こうして信頼関係を深め、患者とは一生の付き合いとなる覚悟をもちながら、
日々の診療や相談の対応にあたっています。

後悔のない最期を迎えるために、患者は老いを認め、いずれ死が訪れることを受け入れて
自分らしい死に方を考えてほしいと著者はいいます。
生きがいをもち、自分らしい生き方を実現している人は、死に対しても「死にがい」
を見いだし、家族や地域の人々、医療機関のスタッフと理想の最期について話し合いを
重ねながら準備をしています。特に自宅で最期を迎えたいのであれば、
在宅医療や在宅看取りについても考え、日頃から備えておくことが重要です。

本書では、著者がたどり着いた「幸福な逝き方」という死生観とそのための準備を
まとめています。自分らしく生き、自分らしく逝くことを考えれば、これからの人生を
充実させるヒントが見つかるはずです。
超高齢社会に生きるすべての人にとって、理想の生き方・逝き方を考えるきっかけと
なる一冊です。

【目次】

はじめに

第1章 「幸せな最期」とは?
病院で孤独な死を迎える老人たち

長生きが当たり前になった日本社会
高齢多死社会に向けて、社会制度が拡充
希望するのは在宅死でも、約7割が病院死
病院では、本人の意思よりも治療が優先
家族の都合で家に帰れない老人たち
◆家に戻りたいという希望を息子たちが拒否
◆二世帯住宅を新築したのに、家族の意向で遠くの高齢者住宅へ
「形だけの在宅死」が幸せとは限らない
◆家族の不安と体調不良で、混乱のなかでの看取りに
専門職の支援を拒否して、病院に担ぎこまれる
◆介護保険サービスも入院も拒否し、自宅での生活が崩壊

第2章 最期まで充実した人生を全うする
生きがいをもって生きることの大切さ
「最期まで充実した人生」を危うくする要因
リスク要因① 老いの現実についての知識が乏しい
◆想像よりも長く生きる現代
◆「ピンピンコロリ」はすでに幻想
◆できるだけ健康を維持しつつ、来る介護を考える
リスク要因② 社会保障があるから大丈夫という油断
◆社会の少子高齢化で「支える側」が減少
医療・介護の自己負担も増加
リスク要因③ 誰かがなんとかしてくれるという依存心
◆病院が「老い」を治せるわけではない
◆家族のあり方が変わり、高齢者だけで老いる
◆妻や子があてになるとは限らない
既婚者でも、最後は一人になる高齢女性
一人になったときのために、介護について考えておく
人まかせにしていると、幸せな最期が遠ざかる
高齢期の人生も自分でつくるという「覚悟」を
定年後こそ、充実して過ごせる生きがいが必要
自分らしく老いるための生きがいづくり
◆生涯現役のすすめ
◆国もシニア世代の就労を後押し

第3章 自分の「老い」を素直に受け入れる
逝くための心の準備
◆無理なく働くことが、幸福な人生をつくる
◆趣味やボランティアも大切な社会活動
長く自立して過ごすための健康づくり
◆健康寿命を延ばすためにできること
◆要介護になる前段階=「フレイル(虚弱)」を防ぐ
◆健康長寿の3つの柱
◆フレイルの兆候を調べる「イレブン・チェック」
◆フレイル予防のポイント① 栄養を十分にとる
◆フレイル予防のポイント② 口腔ケアを行い、よく噛める歯に
◆フレイル予防のポイント③ 好きなことをして体を動かす
◆認知症を知って、備える
◆できなくなったことより、できることに目を向ける

コラム  更年期女性の支援のために始まった健康講座「おりひめの会」

第4章 最期まで自分らしく生きるために家族や地域の人々との関係を見直す

家庭や地域にあなたの「居場所」はあるか?
今のうちに見直しておきたい、家庭のなかの「居場所」
◆自分の身の回りのことは自分でするのが大前提
◆シニア世代は外面よりも〝内面〟を大切に
◆親子の間では、混乱を増やさないように配慮
地域でも、自分の「居場所」となる仲間づくりを
◆地域の人との助け合いで、頼り頼られる関係に
◆介護・支援の拠点となる「地域包括支援センター」
◆認知症になったときの財産管理には「成年後見制度」
◆上手に支援を受ける「受援力」をつけておく
高齢期の住まいは、介護や看取りを想定して検討
◆どんな住まいを選ぶかでも、高齢期の生活は変わる
◆介護のための住宅改修は介護保険サービスで費用補助
◆高齢者施設は、公的・民間で多様なタイプがある

第5章 理想の逝き方へ導く伴走者
長く付き合えるかかりつけ医を見つける
高齢期こそ、医療との付き合い方を考える
高齢期には大病院から地域医療へシフトを
◆高齢者が家に帰れなくなる病院医療ルートとは
◆過剰な病院医療が「長生かし・長生かされ」老人をつくる
◆病院がなくなって病人が減った北海道・夕張市
◆自分でできることは自分でするという意識
◆高齢者の暮らしに寄り添い、支える「地域医療」  ◆コロナ禍で注目された「かかりつけ医」の意義
◆長く付き合える、かかりつけ医の探し方
最期まで、自分らしく生きるための「在宅医療」を知る
◆通院が難しくなったら、在宅医療の出番
◆在宅医療を可能にする「家族の理解」
◆自宅で急変したときも24 時間連絡が可能
◆在宅で受けられる医療と介護保険サービス
◆終末期医療をどう考えるか

コラム  地域医療・在宅医療の担い手医師を育成していくことが急務

第6章 「ありがとう」
自分の人生に感謝して最期を迎える
私が在宅看取りを重視するようになった理由
自宅で旅立った実母からの贈り物
最期に親しい人と交流できるのは、やっぱり自宅
自然な寿命を受け入れた死は、安らか
在宅看取りを実現するための4条件
「自分らしい最期」を叶えた人たちのエピソード
主体的な生き方の積み重ねが、幸せな最期をつくる

おわりに

参考文献・引用文献

著者について
■清田武俊 (きよた・たけとし) 
1953年熊本県生まれ。1979年に熊本大学医学部卒業、熊本大学医学部附属病院(現・熊本大学病院)に麻酔科医として勤務。1989年に医療法人博光会御幸病院の院長に就任。1992年に春日クリニックを開業、1993年に医療法人社団清心会を設立。地域住民に寄り添いライフステージに合わせた医療を提供することを掲げ、ニーズに応じて在宅診療や介護保険事業も展開している。
熊本市医師会在宅医療委員会委員長、熊本市医師会在宅ケアセンター運営委員長、熊本・上益城地域医療構想調整会議委員、熊本県保険医協会理事、熊本県内科医会・熊本市内科医会理事。

出版社 ‏ : ‎ 幻冬舎
発売日 ‏ : ‎ 2023/5/2
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 194ページ

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