一日の終わりの詩集
長田 弘 (著)
「人生ということばが、切実なことばとして感受されるようになって思い知ったことは、
瞬間でもない、永劫でもない、過去でもない、一日がひとの人生をきざむもっとも大切な
時の単位だ、ということだった」
〈いつかはきっと/いつかはきっとと思いつづける/それがきみの冒した間違いだった/
いつかはない/いつかはこない/いつかはなかった/人生は間違いである/ある晴れた
日の夕まぐれ/不意にその思いに襲われて/薄闇のなかに立ちつくすまでの/途方もない
時間が一人の人生である/ひとの一日はどんな時間でできているか?〉
つまるところ、詩とは過ぎゆく時間と対峙して、自らとことばを確保する営為ではなかろうか? この100年という長い一日の終わりを前にして、これまで素の自分をナマのかたちで表現すること少なかった詩人=長田弘が、はじめて、凛としていさぎよく、自らの〈人生の秋〉を詩った「私」詩篇。
出版社 : みすず書房
発売日 : 2000/9/9
言語 : 日本語
単行本 : 88ページ