【ZINE】たたないしゃもじ
つかレモン(著)
独特な視点とユーモアあふれる文体が
楽しいショートエッセイ
世の中には立つしゃもじとたたないしゃもじの2種類のしゃもじがいる。立つしゃもじは柄の部分を下にして自立させることができるので、しゃもじのしゃもじ、米をすくうところを机につけずに置くことができ、衛生的である。我が家には途中から立つしゃもじが来た。綺麗やし、何より、立つ。ただ、この新入りによって、以前からいたしゃもじは、しゃもじであるのにも関わらず、立たないしゃもじとみなされた。しかも年季が入って少し黄ばんでいる。・・・・いつからか、炊飯器の横には立つしゃもじが立ち、常に使われるようになってしまった。たたないしゃもじはいつも棚の中にいたりして、立つしゃもじが洗われているときとかに代打で使われる。かわいそうである。だから僕はたたないしゃもじを使うときは、いつもより優しく握っている気がする。このエッセイもたたないしゃもじの方です。(序文より)
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76ページ