マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件
松井 彰彦 (著, 編集), 塔島 ひろみ (著, 編集), & 12 その他
偏見や制度による規格・線引きがあるために、そこからはみだした人たちは「マイノリティ」「障害者」「変人」と呼ばれ、異者・弱者として扱われます。
本書の執筆者たちは、その意味で「マイノリティ」や「障害者」「変人」などと思われがちですが、「フツウ」のあなたと、まったく別世界の人でしょうか?
この生きにくい社会のなかで、一生懸命、もがいて、生きにくさと戦って、生きているあなたは、この本に出てくる人たちとどこか似てはいないでしょうか?
「フツウ」からはみださないようにがんばっているあなたと、「フツウ」からはみだして、差別され「障害者」「変人」「要配慮者」などと名付けられる彼らを分けているのは、幻想の線に過ぎないのではないでしょうか?
何らかの社会的ハンディをかかえながらも、自分の生を自分なりの形で生き生きと生きていることを伝えるエッセイを、「かわいそうな人の感動する話」ではなく、あなた自身の生と重ねて読んでいただければと思います。
目次
I フツウの世界からはじかれて暮らすことになりましたが、元気でやっています
地獄から社会を眺めて(小林エリコ)
僕はサイボーグ(松井彰彦)
素顔をさらす、さらせない、どちらも自分(西倉実季)
調整、説明、証明をめぐるコスト(吉野 靫)
II フツウと違う家族も悪くない、フツウにこだわらなければ
「沈没家族」で育った土と今の僕(加納 土)
狂人の領地(ナガノハル)
家族を感じ、家族を思う(村山美和)
私たちの家族はどう見えますか? ――知的に障害があるといわれた私たちが育む家族 (田中恵美子)
社会が敵だったときからのこと(塔島ひろみ)
III 居場所がないので、つくってみました
テント村にて(小川てつオ)
自分の家を自分で考える(丹羽太一)
1万キロ離れた国での居場所(アベベ・サレシラシェ・アマレ)
居場所放浪記(石川浩司)
マジョリティだったり、マイノリティだったりする私――権力の誤配をただし続けていくために(前川直哉)
著者について
松井彰彦
1962年生まれ。日本経済学会会長、東京大学経済学研究科副研究科長在任中に心サルコイドーシスにより入院、障害者手帳を取得。エコノメトリック・ソサエティ・フェロー(終身特別会員)。著書に『市場(スーク)の中の女の子』(PHP)、『高校生からのゲーム理論』(ちくまプリマ―新書)など。
塔島ひろみ
1962年東京生まれ。『ユリイカ』1984年度新鋭詩人。1987年ミニコミ「車掌」創刊。編集長として現在も発行を続けている。同誌から生まれた著書に『楽しい〔つづり方〕教室』(出版研)、『鈴木の人』(洋泉社)など。1988年より東京大学経済学部・大学院経済学研究科にて非常勤で事務職を務める。
出版社 : ヘウレーカ
発売日 : 2022/10/5
言語 : 日本語
単行本 : 304ページ