〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす: 正義の反対は別の正義か
朱 喜哲 (著)
正義は暴走しないし、人それぞれでもない──。
アメリカ大統領選挙から、日本の「道徳」の授業まで、現代において「正義」や「公正」といった「正しいことば」はどのように使われているかを検討。
ジョン・ロールズ、リチャード・ローティ、アイザイア・バーリン、ジュディス・シュクラー、アイリス・マリオン・ヤング、スタンリー・カヴェルなどの議論を参照しながら、「正しいことば」の使いこなし方をプラグマティズム言語哲学から探る。
「正しさ」とはなにかを考えるうえで、わたしたち自身の〝ことばづかい〞を通して「正しいことば」をとらえなおす画期的論考。
●目次
序章○正しいことばの使い方
第I部◎「正義」というテクニック
1章○「正義」の模範運転とジョン・ロールズ
2章○「正義」の前提としての「公正」
3章○道徳教育と「正しいことば」の危険運転
4章○「道徳としての正義」とトランプ現象
コラム1●「交差性(インターセクショナリティ)」が行き交う世界
第II部◎「正しいことば」のよりどころ
5章○「会話」を止めるとはどういうことか
6章○「関心」をもつのはいいことか
7章○「自由」を大切に使う
8章○わたしたちの「残酷さ」と政治
コラム2●だれも「中立」ではいられない
第III部◎「公正(フェアネス)」を乗りこなす
9章○理論的なだけでは「公正」たりえない
10章○「公」と「私」をつらぬく正義
11章○「公正」というシステムの責任者
12章○正義をめぐって会話する「われわれ」
著者について
1985年大阪生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。大阪大学社会技術共創研究センター招へい教員ほか。専門はプラグマティズム言語哲学とその思想史。前者ではヘイトスピーチやデータを用いた推論を研究対象として扱っている。
共著に『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』(さくら舎)、『世界最先端の研究が教える すごい哲学』(総合法令出版)、『在野研究ビギナーズ』(明石書店)、『信頼を考える』(勁草書房)など。共訳に『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』(ブランダム著、勁草書房)などがある。
出版社 : 太郎次郎社エディタス
発売日 : 2023/8/29
言語 : 日本語
単行本 : 272ページ