【警報級の大型新人!】救われてんじゃねえよ
上村裕香 (著)
警報級の大型新人!
第21回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作
17歳。誰かの力を借りなきゃ、笑えなかった――。主人公の沙智は、難病の母を介護しながら高校に通う17歳。母の排泄介助をしていると言ったら、担任の先生におおげさなくらい同情された。「わたしは不幸自慢スカウターでいえば結構戦闘力高めなんだと思う」。そんな彼女に舞い降りたのは、くだらない奇跡だった。満身創痍のデビュー作。
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この作品のテーマは非常に重たいものを含んでいます。主人公の少女は、いわゆるヤングケアラーであり、貧しい家庭で難病を抱え自力でトイレに行けない母親の排泄の世話をするなど介護をしています。また、父親は介護を手伝わない一方で性欲が強く、娘の横で性行為を始めるといった家族内の困難な状況も描かれています。これは「親ガチャ外れ」のような状況とも言及されています。
しかし、この作品はこれらの重たいテーマを暗く重く書くのではなく、笑いが非常に重要な描き方となっています。介護の描写は非常にリアルで、読むのを止めたくなるほどのシーンもある一方で、視点によってはこれを笑いに変えられる瞬間がいくつも描かれているとのことです。例えば、介護の際のちょっとしたかけ声や、母親とのやり取りの中に訪れるおかしみなどが挙げられています。
この作品は、旗から見れば悲惨だと決めつけられそうな状況であっても、そうじゃない要素を必ず入れることで、ステレオタイプに当てはめず、「私たちを悲惨な家族と言わないで」というメッセージを含んでいるようです。また、本当に人間が生きる生命力、生きること自体が持っているおかしみを描いており、絶望の中にもおかしみを感じさせる筆の力や感性の力が評価されています。
出版社 : 新潮社
発売日 : 2025/4/16
言語 : 日本語
単行本 : 128ページ
ISBN-10 : 4103562315
ISBN-13 : 978-4103562313
寸法 : 19.7 x 13.6 x 1.7 cm