東京情緒

高﨑 一(著)

通勤路で目にする草花、オフィスで交わす何気ない言葉、リモートワーク中のふとした仕草。
夕立にけぶるビル街、駅に満ちる人波、ふと胸をかすめるあの日の記憶――。

ビジネスの現場で日々奮闘しながら、都市に生きる私たちが見落としがちな日常のかけら。
その一つひとつを、掌編小説のように、あるいは散文詩のように、優しく、繊細にすくい取った、36の物語。

静かに心に灯をともす、都会の日常への小さなオマージュ。
第1詩集。

まえがき

 ここに収められた三十六の小品には、非凡な個性で魅了する主人公も、涙腺が決壊するドラマチックな展開も、思わず息をのむスペクタクルも登場しない。
 語られるのはむしろ、都市に生きていく中で、誰もがごく普通に体験する日常の些細な断片である。
 通勤の途中でいつも目にする草花。オフィスでの他愛のない会話。リモートワークの仕草。ビル街に降る夕立。駅の雑踏。あるいは不意によぎる記憶。
 私たちの生活は、一生は、そうした何気ないひとときが、無数に織り重なってできている。
 せわしい日々の中で、つい見過ごされがちな小さな出来事。私たちはただ、そのひとつひとつに、いつもかすかなゆらめきが見え隠れしているのを、それとなく気づいている。そして、それが、とてもかけがえのないことにも。
 ちょっとしたままならなさやつまずき。束の間の充足や安息。ふと湧き出ては消える期待や希望。
 この大きな都市のそこかしこで、うつろう情緒。そのおぼろげな気配をそのまま掬い取れる言葉。それを探し求め、綴っているうちに、季節と旧暦のうつろいと重なっていった。そして、時には掌編小説のように、あるいは散文詩のように、はぐれがちなうつろいたちを素描する詩となった。随想を詩う、随想詩、とでも言えばいいのか。
 都市の情緒。それは、そよいだり、滲んだりしながら、さらにその先へとうつろいゆく。その消息に緩やかに沿って連なる三年、三十六月。気ままに遊歩してほしい。
 きっと、日々の暮らしのどこかと重なって響き合う一節が、隠れているはずだから。

著者プロフィール
高﨑 一 (タカサキ ハジメ)
1978年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート(現:リクルートホールディングス)入社。数社を経て、現在ベンチャー企業の取締役CFO。41歳で、武蔵野美術大学大学院造形研究科造形理論・美術史コース(現:美学美術史コース)修了。今作が初めての文芸作品。

発行:コトニ社
四六変形判 縦190mm 横118mm 厚さ15mm 224ページ 並製

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