鬱病日記
杉田俊介(著)
「からだが気づいて鬱になる」という言葉が胸に刺さりました。批評家として長年にわたり社会や文化を見つめてきた杉田俊介さんが、自らの鬱病体験を「創作論」として記録したこの書。SNS上での公開を経て、鮮明な記憶のように、沈黙とともに読み手の内側に沁み込んできます。日常の中に潜む“声にならない声”を、作者は淀みなく書き留めています。本を読むことで「自分のからだの読み方」を知りたい方、誰にも言えずにいる気持ちの場を探している方にこそ、この場で出会ってほしい一冊です。
本書は、「オンタイムでWeb上に公表された克明な鬱病体験記」というスタイルを採り、2023年12月から2024年9月までの年月を月ごとに綴ります。
著者は、鬱病という「この時代の病」に対し、自身のからだや心、生活という最も個別的な領域から問いを立て、赤裸々かつ透徹な視線でその体験を描き出しています。推薦文には、 坂口恭平 氏による「本当にきついときに皆に読んで欲しい福音書」という言葉も添えられています。
メンタルヘルスの文脈だけでなく、「創作とは何か」「読書とは何か」「からだとは何か」を考えるための手がかりとしても読める、評論者ならではの深さを備えた体験記です。
著者について
1975年生まれ。批評家。
『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院)でデビュー、以後、障害者支援NPOで働きながら文芸評論や労働/貧困問題について著述。現在は執筆活動に専念。すばるクリティーク賞選考委員、雑誌『対抗言論』編集委員。元フリーターズフリー(現在は解散)組合員。著書に『人志とたけし』(晶文社)、『宮崎駿論』(NHK出版)、『非モテの品格』『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か』(集英社新書)、『ジョジョ論』『戦争と虚構』(作品社)、『安彦良和の戦争と平和』(中公新書ラクレ)、『ドラえもん論』(Pヴァイン)、『無能力批評』『ジャパニメーションの成熟と喪失』(大月書店)、『橋川文三とその浪曼』(河出書房新社)ほか。
出版社:晶文社
発売日:2025年10月15日
判型・頁数:四六判(B6判サイズ)・256ページ


