女の子の背骨
著者:市川沙央
市川沙央さんの作品を読むと、言葉が「痛点」に触れる瞬間がある。
この小説もまさにそうで、社会のあちこちに置き去りにされてきた声が、
ひとつずつ輪郭を持って迫ってくる。
“弱さ”とか“生きづらさ”という言葉では収まらない、
もっと個別で、もっと切実で、もっと言葉にしづらい経験。
それを他人事にせず、わたしたち自身の問題として読み返すことになる。
ページを閉じたあと、自分の中の「見えていなかった部分」が
じんわりと疼きはじめるような本。
市川さんの冷静さと情熱の両方が混ざり合う文体が、
読者の背骨にもまっすぐ響いてくる。
書籍概要
芥川賞受賞作『ハンチバック』の衝撃ふたたび。
難病とともに生きる作者が、身体・言葉・孤独と向き合いながら描く物語。
社会のまなざしに押しつぶされそうになりつつも、
それでも「生きる」ことを考え続ける少女の姿を通して、
現代の息苦しさと希望の在りかが浮かび上がる。
著者について
市川沙央(いちかわ・さおう)
1983年生まれ。
2023年『ハンチバック』で芥川賞を受賞。
難病を抱えながら、身体と社会の境界線を鮮やかに描く作家として注目される。
出版社:文藝春秋
発売日:2024/7/19
言語:日本語
判型:四六判
寸法:13.6 × 2 × 19.6 cm


