転んでもいい主義のあゆみ 日本のプラグマティズム入門

荒木優太 (著)

出版社 ‏ : ‎ フィルムアート社
発売日 ‏ : ‎ 2021/11/26
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 248ページ


「ふわふわ」を正し、じたばたしながら、「くよくよ」を守れ。
ポジティブになれない日本人のための試行錯誤論、
ここに見参!!

在野研究者・荒木優太が日本のプラグマティズム受容史を探索しながら「転んでもいい主義」をガイドする、待望の新刊!


試行錯誤は人間の最大の武器であるはずなのに、
今の日本には「可謬主義=転んでもいい主義」が足りない──!
「失敗すること」を日本人はどう考えてきたのか?
異様に前向きなアメリカ文化によって開拓されたプラグマティズム思想が日本でどのように受容されてきたのか(されてこなかったのか)、その歴史をたどりながら人間の生の営みのその根本へと手探りで進んでいく。

人生はクソゲー。だけど「七転び八起き」で生きていく勇気がわいてくる、
「八回目に起き上がるための」日本式プラグマティズム入門書。


プラグマティズムって……なに?

・間違ってもいいんだよ、人間だもの。
・習うより慣れろ。
・やってみなくっちゃ分からない!

……だいたいこんな感じのやつ。


もうどうなってもいいよと思うことがある。その失敗は君の財産になるんだよという行儀のいいアドバイスがとてもうるさく感じるときがある。絶対にそうしたほうがいいのにそれでも次の一歩が踏み出せないときがある。そんなときは失敗を正しく捉えるのではなく、捉え損ねた失敗の歴史なかで、それでもそれが歴史である──あるものはある──という事実をただ率直に認めることを本書は勧める。失敗を有効活用する成功の経済の手前で、残骸をただの残骸として眺めることを勧める。それは失敗から正解を引き出してくることに疲れてしまった我々の似姿のように見えるからだ。
ちゃんとオリジナルをコピーできているかどうか定かではない、不格好な日本のプラグマティズムはその目標にとってまさに格好の対象といって差し支えない。
(「序 八回目に起き上がるために」より)

【目次】
序 八回目に起き上がるために
もう起きたくなーい! |失敗は成功の母?|ポンコツイズムと自暴自棄|可謬主義に回収されないもの

第一章 プラグマティズムを大雑把に理解する
プラグマ御三家、きみに決めた! |テオリアvsプラクシス|パース、かわいそうな奴|名づけ親知らず|子供に《硬い》を教えるには|意味から真理へ|モテの永久機関|パースは共同体に開かれている|第三の男|みんなおいでよデューイ学校|御三家から学ぶ三つの教え

第二章 評論×プラグマティズム=田中王堂
日本初のプラグマティスト|師匠には触れない|vsクワッキー|驚くべきこともっとある|エッセイとクリティック|具体理想主義とはなにか?|漱石批判|テオリアは「見方」と訳すべし|具体理想主義と代議制|どちらも哲人主義|アメリカ哲学とは別の仕方で|タゴールに反駁す|味噌汁でパンを食うかのように

第三章 政経×プラグマティズム=石橋湛山
王堂先生、マジ、リスペクト|坊主とジャーナリスト|枝分かれする具体理想主義|電車独学術|無料よくない論|師匠よりもリベラルに|冷笑主義は許さない|象牙の塔としての評論|小日本主義とはなにか|格率ふたたび|資本は牡丹餅、土地は重箱|無力なプラグマティズム?

第四章 教育×プラグマティズム=田制佐重
謎めいた男|デューイに先行するシラー翻訳|巻尺としての人間|ソクラテスもソフィスト|ソフィストの在野精神?|スコラは煩瑣|言葉の使用から考える|社会化された教育のために|ゲーリ学校|トルストイはプラグマティスト?|反革命の思想

第五章 スポーツ×プラグマティズム=三隅一成
動くものは動く|G・H・ミードとは?|未来を意識するからアガる|厄介なフィードバック|創発とはなにか|弁証法とは違う|ミードの現在主義|イヌ派の社会論|一般化された他者|行動科学は全体主義か?|労働者の技能を測定する|心だって測れる|プラグマ全体主義?

第六章 倫理×プラグマティズム=清水幾太郎
さらば、三隅野球団|挫折を経て出会うアメリカ|クレアタ・エト・クレアアンス|習慣とエス|習慣改善の技法|自己啓発との距離|習慣と慣習は違う|私のなかの能動面|ヴィトゲンシュタインと教育|子供から考える|戦後思想としてのプラグマティズム|精神的なものが最後のフロンティア|それってつまり侵略ですよね?|堕落するコモン・マン

第七章 『思想の科学』の周辺
古在由重に学ぶ|鶴見和子のデューイ批判|革命よりも離婚を狙え|断ち切れ、循環小数|コモン・マンと生活綴方運動|三段階だから似たようなもの?|人間魚雷で人生終わった|武将の血が流れている?|危険な意味|お願い桑原親分|デューイ芸術論|経験の拡張としての文学|共同研究を組織する|研究は楽しくてよい|多田道太郎とカイヨワ|ゲーミフィケーションとは|遊んでいるのか遊ばれているのか

第八章 哲学×プラグマティズム=鶴見俊輔
不良アコガレ|総理大臣の名前を貰う|マチガイ主義|敵性外国人として|パースの門|測りながら考える|マイナー固有名の群立|サークルの思想|思想の母胎|日本の地下水|三つの学風|煙仲間|攻撃としての書くこと|限界系|自我のくみかえ|時間のなかで変わりうる私|コミュニティのなかで変わりうる私|受け継がれた群れ群れ

終章 試行錯誤のアンチノミーのなかで
歴史から見出されるプラグマティズム|アメリカ限定?|演繹(トップダウン)と帰納(ボトムアップ)|こう仮定するとうまく説明できる|なんか似てる|アブダクティブなあゆみの果てに|試行錯誤の定立命題と反定立命題|誤ること/謝ること|そして測り知れない《私》へ

あとがき

著者について
荒木優太(あらき・ゆうた)
1987年東京生まれ。在野研究者。明治大学文学部文学科日本文学専攻博士前期課程修了。2015年、第59回群像新人評論優秀賞を受賞。著書に『これからのエリック・ホッファーのために』(東京書籍、2016年)、『貧しい出版者』(フィルムアート社、2017年)、『有島武郎』(岩波新書、2020年)など。編著に『在野研究ビギナーズ』(明石書店、2019年)。

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