エールは消えない -いのちをめぐる5つの物語-
志村 季世恵 (著)
誰もが経験する肉親や親しい人との別れ。バースセラピストとして多くの人の誕生や死にかかわってきた著者にとっても、自身の母を見送ることは「心にぽっかりと穴」が空くような特別な経験でした。その、ぽっかりと空いた穴を埋めるものは何だったのでしょうか。
「大丈夫、きっと乗り越えられるよ、信じてごらん」というお母さんの言葉が、その後の著者を支えたと言います。
また、長年家族ぐるみで親しくし、その晩年に寄り添った俳優の樹木希林さんからも、同じことを言われました。
「大丈夫、私も協力するよ。そして応援する」。
間もなくこの世から旅立とうとしていることを知りながら、希林さんは強い意志で応援してくれたのです。
著者は綴ります。
「人がこの世を去ってからも、応援(エール)の思いはずっと生き残る。決して消えたりしない。まるでお守りみたいに」。
本書は、著者が見送った87歳の母のこと、最期を共に過ごした樹木希林さんのこと、自殺した娘の子どもを育てたお母さん、両親をなくし伯父伯母に引き取られた姉妹と、見守るおばあちゃん、子育て中の盲目のお母さんなど、5つの多様な家族の物語と、めぐるいのちを描いた珠玉のエッセイ集です。
巻末には、内田也哉子さんとの対談「母をおくる」も収録。
著者について
1962年生まれ。バース・セラピスト。
約30年で4万人をカウンセリングし、人の誕生や、ターミナルケアにたずさわる。女優の樹木希林さんの晩年にも寄り添い、最後まで伴走した。一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ代表。4児の母。
著書に『いのちのバトン』『さよならの先』(共に講談社文庫)など。
内田也哉子さんとの共著に『親と子が育てられるとき』(岩波アクティブ新書)がある。
出版社 : 婦人之友社
発売日 : 2023/2/27
言語 : 日本語
単行本(ソフトカバー) : 208ページ