僕という心理実験~うまくいかないのは、あなたのせいじゃない
妹尾 武治 (著)
幸運と不運、成功と失敗、
すべては事前に決まっている。
だから、苦しむ必要はない。
――「心理学的決定論」という希望
『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。』(光文社新書)の著
者による救済の書
私は九州大学の芸術工学研究院で、錯覚的な自己身体の移動感覚(専門用
語でベクションと呼ぶ)について研究している。知覚心理学を専門にした、
心理学の教員だ。
科学者がオカルト的な、宗教的な本、小説、フィクションを書いていいの
か? 現時点で、私はこの批判に対して明確で強い反論は持っていない。
ある人が見ればオカルトであり、非科学的であり、宗教的だと映るだろう。
一つだけ言えることは、私は教員であり心理学者だが、科学者ではないと
自覚している。もっと大事なことを学んでいるつもりだ。もし同業者が私
のことを迷惑に感じるなら、The Artist Formerly Known as Psychologist
と名乗ってもいい。
本書では、私が心理学的決定論を信じるに至った科学的な論拠ではない部
分、個人的な考えを自由に書いた。生い立ちなど個人的な背景についても
少し書かせてもらった。
妹尾武治(せのおたけはる)
九州大学高等研究院及び大学院芸術工学研究院准教授。オーストラリア、ウーロンゴン大学客員研究員。東京大学大学院人文社会系研究科(心理学研究室)修了。心理学博士。専門は知覚心理学だが、これまで心理学全般について研究及び授業を行ってきた。現在、自分が乗っている電車が止まっているのにもかかわらず、反対方向の電車が動き出すと自分も動いているように感じる現象(ベクション)を主な研究テーマとしている。筋金入りのプロレスマニア。一般向けの書籍に『脳がシビれる心理学』(実業之日本社)がある。
出版社 : 光文社
発売日 : 2022/11/24
単行本(ソフトカバー) : 440ページ