ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ―答えを急がず立ち止まる力

谷川嘉浩 (著), 朱喜哲 (著), 杉谷和哉 (著)

「わからなさ」を抱えて生きる方法を熱論!

情報や刺激の濁流にさらされる加速社会は、即断即決をよしとする世界だ。私たちは物事を性急に理解し、早々に結論を出し、何でも迅速に解決しようとする。しかし、それでいいのだろうか。「ネガティヴ・ケイパビリティ」とは不可解な物事、問題に直面したとき、簡単に解決したり安易に納得したりしない能力のこと。わからなさを受け入れ、揺れながら考え続ける力だ。注目の若手論客3人が対話でネガティヴ・ケイパビリティの魅力と実践可能性に迫る知の饗宴!

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リスクや不確実性に満ちた社会を渡り歩くために、大半の人は余計な時間やコストをかけることを避け、身軽で即断即決のスッキリした生き方、悩みや疑いなどないスピード感ある生き方を追い求めています。そういう流れに抗して、私たちはこの本で「ネガティヴ・ケイパビリティ」の価値を訴えようとしています。本書の試みは、濁流の中に「よどみ」を作るような仕事だと言えるかもしれません。激しすぎる流れの中で、魚やその他の水生生物は暮らしを営むことができません。魚などが暮らしやすい環境には、「よどみ」があります。同じことが、人間の生態系にも言えるはずです。何事も変化し続ける社会において「よどみ」は、時代遅れで、回りくどく、無駄なものに見えますが、そういうものがなければ、私たちは自分の生活を紡ぐことに難しさを感じるものです。逆に言えば、この社会に「よどみ」が増えれば、前よりも少し過ごしやすくなります。(「はじめに」より)

第1章 「一問一答」的世界観から逃れる方法
――陰謀論、対人論証、ファシリテーション
第2章 自分に都合のいいナラティヴを離れる方法
――フィクション、言葉遣い、疲労の意味
第3章 「アイヒマンにならないように自分の頭で考えよう」という言葉に乗れない理由
――コンサンプション(消費)、アテンション(注目)、インテンション(意図)
第4章 信頼のためには関係が壊れるリスクを負わねばならない
――マーケティング、トラスト、脱常識
第5章 「言葉に乗っ取られない」ために必要なこと
――SNS、プライバシー、言葉の複数性
第6章 自分のナラティヴ/言葉を持つこと
――倫理、相対化、ナッジ
第7章 公と私を再接続するコーポラティヴ・ヴェンチャー
――関心、実験、中間集団
第8章 イベントとしての日常から、エピソードとしての日常へ
――観察、対話、ナラティヴ

著者について
谷川 嘉浩(たにがわ・よしひろ)
1990年兵庫県に生まれる。哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都市立芸術大学美術学部デザイン科特任講師。
単著に『スマホ時代の哲学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『鶴見俊輔の言葉と倫理』(人文書院)、『信仰と想像力の哲学』(勁草書房)。共著にWhole Person Education in East Asian Universities, Routledgeなどがある。

朱 喜哲(ちゅ・ひちょる)
1985年大阪府に生まれる。哲学者。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、大阪大学社会技術共創研究センター招聘教員。
主な論文に「陰謀論の合理性を分節化する」(『現代思想』2021年5月号)、共著に『信頼を考える』(勁草書房)、『世界最先端の研究が教える すごい哲学』(総合法令出版)、共訳に『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』(勁草書房)などがある。

杉谷 和哉(すぎたに・かずや)
1990年大阪府に生まれる。公共政策学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得認定退学。博士(人間・環境学)。現在、岩手県立大学総合政策学部講師。
著書に『政策にエビデンスは必要なのか』(ミネルヴァ書房)、論文に「EBPMのダークサイド:その実態と対処法に関する試論」(『評価クォータリー』63号)、「新型コロナ感染症(COVID-19)が公共政策学に突き付けているもの」(『公共政策研究』20号)などがある。

出版社 ‏ : ‎ さくら舎
発売日 ‏ : ‎ 2023/2/9
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 288ページ

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