へんしん すがたをかえるイモムシ (福音館の科学シリーズ)
桃山 鈴子 (著), 井上 大成 監修・解説 (その他)
卵から生まれたイモムシは、何度も皮をぬぎながら成長します。充分に大きくなると、気に入った場所で糸をはき、からだをくくりつけて動かなくなります。さなぎになるのです。そして時間が経つと、さなぎの色がだんだんと変化して、さあ、いよいよ……。
昆虫画家の著者が、身近なチョウの「へんしん」をつぶさに観察し、成長段階に応じて変化するすがたを丁寧に描きだしました。登場するのは、モンシロチョウ、ナミアゲハ、ウラギンシジミ。いずれも庭や公園でごくふつうに目にするチョウですが、その成長のすべてを観察するのは、案外、難しいものです。画家の目を通して、タマゴからチョウまでの劇的な変化を見守ることで、生きものの美しさ、生きることの不思議さを改めて実感することができます。日本画を思わせる、繊細で美しい絵が印象的な絵本。巻末には、チョウの解説と、昆虫の変態に関する解説(監修者執筆)がついています。
出版社からのコメント
著者の桃山鈴子さんは、イモムシをこよなく愛する昆虫画家です。紅茶などで染めた大きな紙に、カラーインクをつけた細いペンで点描を打ちます。桃山さんは、葉についた卵やイモムシを野山で採集し、自宅で飼育観察しながら、絵を描いています。卵から幼虫が出てくるところ。終れい幼虫がさなぎになる過程。さなぎからチョウが出てくる場面。さまざまな「瞬間」をとらえるには、たくさんの時間と労力がかかります。描いた絵を監修者の井上大成さんにご確認いただき、アドバイスを仰ぎながら、何度も手直しを重ね、時間をかけて仕上げてゆきます。一般に、チョウは綺麗で、イモムシは気持ち悪い、と思われがちですが、桃山さんの絵を通して出合うそのすがたは、ときにかわいらしく、ときに美しく、みる人の心を動かします。海外にも多くのファンがいる桃山鈴子さんの画業を、絵本のかたちで、子どもたちに届けられることを、とても嬉しく思っています。
著者について
桃山鈴子
昆虫画家。東京生まれ。幼少期をニューヨーク郊外で送る。小学生のころから、昆虫をはじめ、いろいろな生き物に親しんできた。生物学の授業で顕微鏡を使った観察スケッチを学んだことが絵画表現の原点となっている。個展多数。2022年には細見美術館の「虫めづる日本の美」展に出展した。作品集に『わたしはイモムシ』(工作舎)。本作は、著者にとってはじめての絵本となる。HB ギャラリーファイルコンペ vol.29藤枝リュウジ賞、Gallery House MAYA 装画コンペvol.19準グランプリ、Society of Illustrators - Illustrators 62入選。
井上大成
千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。学術博士。森林総合研究所多摩森林科学園勤務。昆虫の生態や多様性を研究している。子どもたちに科学の楽しさを伝える「サイエンス・キッズ」でも講師を勤めている。子ども向けの編著書に『昆虫ワールド』(玉川大学出版部)などがある。福音館書店の月刊誌「かがくのとも」2018年2月号「チョウのふゆごし」、2020年4月号「むしとりあそび」、2021年7月号「はっぱのかくれが」にて、絵本作品の文を手がけている。
出版社 : 福音館書店
発売日 : 2022/4/22
言語 : 日本語
単行本 : 48ページ