読んでばっか
江國 香織 (著)
絵本、童話から小説、エッセイ、詩、そして海外ミステリーまで――。
お風呂でも、電車の中でも、待ち合わせでも、
いつもそばに本があることの幸せと
本を読む喜びにあふれたエッセイ集。
装画=山本容子
「本を読むのはその本のなかにでかけて行くことですから、ここに集められた文章は、私にとって旅の記録でもあります。あちこちにでかけたなあ。」
(「あとがき」より)
【目次】
[アンケート]どうやって本を読んでいますか
Ⅰ なつかしい読書
壁のなか
街との親和性、そして方向音痴のこと
のむよむ
あかるい言葉
白いドレス
あの世に行く話
石井桃子(あるいはいしいももこ)さん
豊かで幸福な書物――石井桃子 この三冊
完全無欠な絵本――ビアトリクス・ポター『モペットちゃんのおはなし』
なつかしい一冊――アリスン・アトリー『時の旅人』
軽やかで健やかな精神――R・L・スティヴンスン『旅は驢馬をつれて』
庄野潤三さんの文章世界
雨の日を繙く
あの妹
すべての物語が地続きな場所
優雅ということのたくましさ――クレイグ・ライス この三冊
文豪の朗読
1 佐藤春夫「秋刀魚の歌」
2 大佛次郎「帰郷」
3 室生犀星「鐵集」
4 吉行淳之介「娼婦の部屋」
5 遠藤周作「おバカさん」
6 谷川俊太郎「理想的な詩の初歩的な説明」「かっぱ」など
7 高橋たか子「きれいな人」
マジカル――川上未映子
金原ひとみさんのこと
私は願う――アンドレ・ケルテス『ON READING』
信頼
Ⅱ 本を読む日々
ジョン・アーヴィング『あの川のほとりで』 / ジョン・アーヴィング『ひとりの体で』 / 池澤夏樹『砂浜に坐り込んだ船』 / 石井桃子『新しいおとな』 / 岩瀬成子『真昼のユウレイたち』 / ドン・ウィンズロウ『犬の力』 / リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』 / 奥泉光『東京自叙伝』 / 小山田浩子『庭』 / オラフ・オラフソン『ヴァレンタインズ』 / 金井美恵子『昔のミセス』 / 金原ひとみ『デクリネゾン』 / 川上弘美『わたしの好きな季語』 / 川上未映子『愛の夢とか』 / 川島誠『神様のみなしご』 / 北村薫『水 本の小説』 / アンジ―・キム『ミラクル・クリーク』 / ピーター・キャメロン『最終目的地』 / ルース・クラウス文 モーリス・センダック絵『ちょうちょのために ドアをあけよう』 / テジュ・コール『オープン・シティ』 / 佐野洋子『わたしが妹だったとき』 / 佐野洋子『役に立たない日々』 / 『佐野洋子 とっておき作品集』 / 柴田元幸編訳 バリー・ユアグローほか『昨日のように遠い日 少女少年小説選』 / ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』 / 庄野潤三『野鴨』 / エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』 / 瀬戸内寂聴『私(わたくし)解説 ――ペン一本で生きてきた』 / ジュノ・ディアス『こうしてお前は彼女にフラれる』 / アニカ・トール『私の中の遠い夏』 / ウィリアム・トレヴァー『恋と夏』 / ジョン・ニコルズ『卵を産めない郭公』 / 西村賢太『瘡瘢旅行』 / シーグリッド・ヌーネス『友だち』 / ジョゼフ・ノックス『スリープウォーカー』 / ポール・ハーディング『ティンカーズ』 / バーバラ・ピム『よくできた女(ひと)』 / ナンシー・ヒューストン『時のかさなり』 / 古川日出男『聖家族』 / メヒティルト・ボルマン『沈黙を破る者』 / ドナルド・レイ・ポロック『悪魔はいつもそこに』 / ジェレミー・マーサー『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』 / イアン・マキューアン『土曜日』 / アレクサンダー・マクラウド『煉瓦を運ぶ』 / エリック・マコーマック『雲』 / メアリー・マッカーシー『アメリカの鳥』 / トゥルース・マティ『ミスターオレンジ』 / アムリア・マラディ『デンマークに死す』 / マーガレット・ミラー『雪の墓標』 / 『山本容子のアーティスト図鑑』 / デニス・ルヘイン『ザ・ドロップ』
Ⅲ さらに本を読む日々
文学そのもの――庄野潤三『貝がらと海の音』
すこしの淋しさ――瀬戸内寂聴『死に支度』
詩は放たれる――谷川俊太郎『トロムソコラージュ』
蜂の巣――佐野洋子『そうはいかない』
食べ応えのある詩集――長田弘『食卓一期一会』
偶然性よりもむしろ必然性によって――小川洋子『アンジェリーナ』
健全ということ――川上弘美『水声』
肌で読む――朝吹真理子『TIMELESS』
あとがき
著者について
江國 香織(えくに・かおり):1964年東京生まれ。1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文学賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞など数々の文学賞を受賞。他の小説作品に『つめたいよるに』『神様のボート』『東京タワー』『抱擁、あるいはライスには塩を』『彼女たちの場合は』『去年の雪』『ひとりでカラカサさしてゆく』『シェニール織とか黄肉のメロンとか』『川のある街』など多数。『絵本を抱えて部屋のすみへ』『いくつもの週末』『雨はコーラをのめない』『旅ドロップ』などのエッセイ集や詩集・童話・翻訳など多彩なジャンルで活躍。
出版社 : 筑摩書房
発売日 : 2024/6/12
言語 : 日本語
単行本(ソフトカバー) : 256ページ