【ZINE】続・ヤクザ短歌(プチ文壇バー 月に吠えるコースター付き)
ヤクザに密着取材した日々を短歌にした「ヤクザ短歌」の完結編!
プチ文壇バー 月に吠える
コエヌマカズユキ(著)
——————————————————
おいマジか、取材で会った? しょこたんに! 今度あるなら俺も連れてけ
ペストルを撃ってみるかと彼は言い苦笑する僕見て高笑い
「怖いよ」と初めて聞いたヤクザから無いと思ってた彼の辞書には
——————————————————
月に吠える店主の僕・コエヌマカズユキが駆け出しのジャーナリストだったころ、ひょんなきっかけでひとりのヤクザ・ヨシザワに出会い、約2年間にわたって密着取材をしました。
年が近いことだけでなく、なぜか気が合った僕らは、毎週のように取材と称して、彼の拠点である都内の私鉄沿線N駅周辺で飲み歩きました。
組事務所に入らせてもらったり、ミカジメ料の取り立てに同行させてもらったりと、彼の稼業も間近で見させてもらいました。
一方で、ひとりの青年としての素顔にもたくさん触れました。意外と上手にギターを弾いたり、将来は先生になりたいという夢があったり、風俗に行ったことを恥ずかしいからとウソついて隠したり。
僕たちは長い時間、語り明かしました。酒を飲み交わしながら、ドライブをしながら、ときに彼の家に泊まりながら。バカ話で盛り上がることもあった一方で、ヨシザワはヤクザであることの本音や人生哲学、恋愛観や死生観なども話してくれました。そのなかには、「ヤクザも一般人も変わらないんだ」と思えることもあれば、「やっぱりヤクザは僕らとは違うんだ」と思えることもありました。
彼との話を記事にしたい! そう思い幾つかの編集部に提案したのですが、快い返事はもらえませんでした。確かに、メディアやSNSなどで、ヤクザの話はありふれており、ヤクザとの思い出をただ綴っても記事にならないことはよく理解していました。
数年後、僕はひょんなことで短歌と出会います。その表現方法に面白さを感じていたとき、ふと、ヨシザワとの話を短歌にしたらハマるのでは、と思い立ちました。
そして同人誌として、2023年1月に「ヤクザ短歌」を、2024年12月に「続・ヤクザ短歌」を制作したのです。面白いかどうかはともかく、自分にしか書けない、唯一無二の本になっている自負はあります。
(プチ文壇バー 月に吠えるnoteより引用)
プチ文壇バー 月に吠える
新宿ゴールデン街にある日本一敷居の低い文壇バーです。系列店「ひらづみ」は四谷三丁目にあります。noteは店主でジャーナリストのコエヌマカズユキやスタッフ、インターン記者たちが執筆しています。
月に吠える店主でジャーナリストのコエヌマカズユキが、
ひとりのヤクザに密着取材した2年間の思い出を、
短歌とエッセイでつづりました。
【収録短歌より】
この店は俺がケツ持ちしてんだと行きつけなんだと言うように言う
二つ折り財布を俺は使わねえ百万円が入らねえから
好きな子に正々堂々好きだって俺らは言えないそんな稼業だ
完結編の続・ヤクザ短歌も好評発売中!
https://hontohitsuji.thebase.in/items/95783450
著者について
一九八〇年、東京都生まれ。大学中退後、広告代理店勤務を経てフリーのジャーナリストに。東洋経済オンライン、弁護士ドットコムニュース、文春オンラインなどさまざまなメディアで、主に社会問題を扱う記事や人物ルポを執筆。陽が当たりづらい世界・偏見を持たれやすい世界で生きる人々や、そこで生じている問題に着目した記事を書くことを使命としている。ABEMA Primeなどの報道番組にコメンテーターとして出演することも。著書に、さまざまな愛の形を描いたルポ『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』などがある。新宿ゴールデン街の伝説的なぼったくりバーを追った『ゴールデン街のボニーとクライド』はnote創作大賞2022にて入賞。読書好きや作家志望が集まるバー(新宿ゴールデン街「月に吠える」、四谷荒木町「ひらづみ」)を経営している。近著に炎上系ユーチューバー 過激動画が生み出すカネと信者 (幻冬舎新書 778) 。


