タイム・スリップ芥川賞 「文学って、なんのため?」と思う人のための日本文学入門
菊池 良 (著), JUN OSON (イラスト)
出版社 : ダイヤモンド社
発売日 : 2022/1/19
言語 : 日本語
単行本(ソフトカバー) : 320ページ
「小説を読む前」にわかる日本文学入門。
芥川賞は、「戦後日本人の歴史」そのものだった。
前代未聞の「文学エンターテインメント」!!
たとえばマーケティングや経営戦略の入門書に、「とにかく原典を読んでください」というものは少ないでしょう。しかし、「文学の入門書」だけは「とにかく読みましょう」というものが多い。そりゃそうです。文学は、読まないとわからない。体験しないとわからない。でも、それが文学好きと文学嫌いとの断絶を助長している側面があるのではないでしょうか。
本書は、1冊も小説を読んだことのない少年が、文学好きな科学者と一緒にタイム・マシンに乗って、歴代芥川賞受賞作家に会いに行く設定のストーリー形式で進みます。
主人公は、作品が生まれる瞬間や作者のその後に「実際に立ち会い」、文学への理解を深めていきます。そして、芥川賞とその時代背景にある日本の高度経済成長、民主主義、政治の変遷、都市と辺境、日米関係、ポップカルチャーやインターネットの台頭などを同時に振り返ります。
文学の意義やおもしろさ、日本の戦後史と芥川賞の関係、そして「人間と文学」の関係まで明らかにする「教養としてのエンタメ文学」です。
-------もくじ------
プロローグ 博士の家にて
第一章 石原慎太郎と太陽の季節
1956年 東京
第二章 大江健三郎と戦後民主主義
1959年 東京
1994年9月17日 東京
1994年12月7日 スウェーデン
第三章 中上健次と日本近代文学の完成
1968年 新宿
1970年 羽田
1980年 和歌山
1976年 新宿
第四章 村上龍と近代化の終わり
1976年 東京・新宿
1978年 東京国分寺
1987年 東京
第五章 80年代と視覚文化(ポップカルチャー)の氾濫
1977年7月14日 アメリカ・イーストハンプトン
1964年10月16日 東京・銀座
1963年3月1日 東京 阿佐ヶ谷
第六章 90年代と新しい小説家たち
1998年 東京神楽坂
2004年 東京有楽町
第七章 芥川賞はいかに創設されたか
1927年 東京
第八章 又吉直樹と日本文学の100年
1999年 東京・三鷹
エピローグ
参考文献
著者について
1987年生まれ。村上春樹や太宰治など100人以上の書き手を文体模写した『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(共著・宝島社)がシリーズ累計17万部。『芥川賞ぜんぶ読む』(宝島社)では1935年~2018年までの芥川賞受賞作180作をすべて解説した。そのほか『小説幻冬』(幻冬舎)で「ニャタレー夫人の恋人」を連載、『ヤングキング』(少年画報社)で「めぞん文豪」の漫画原作を神田桂一氏とともに担当。