フライデー・ブラック
ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー (著), 押野 素子 (翻訳)
欧米有名紙などの各メディアで激賞された規格外の新人、ブレニヤー衝撃のデビュー短編集、初の邦訳。
差別と暴力と欲にまみれた世界をシュールに描く圧倒的な筆力が、ブラック・シュールレアリズムの次世代を告げる!
現代に生きるアフリカ系アメリカ人につきまとう暴力と理不尽さを描いて鮮烈な印象を残す「フィンケルスティーン5」、大量消費社会のグロテスクな姿をホラー的感覚でブラックユーモアたっぷりに描いた表題作 「フライデー・ブラック」などの短編、全12編を収録。
訳者はブラックカルチャーに縁の深い米国在住の翻訳者/ライターの押野素子氏。
解説は現代アメリカ小説の翻訳を数多く手掛ける、同志社大学教授の藤井光氏。
●目次
●フィンケルスティーン5
●母の言葉
●旧時代<ジ・エラ><; br> ●ラーク・ストリート
●病院にて
●ジマー・ランド
●フライデー・ブラック
●ライオンと蜘蛛
●ライト・スピッター──光を吐く者
●アイスキングが伝授する「ジャケットの売り方」
●小売業界で生きる秘訣
●閃光を越えて
●謝辞
●解説 藤井 光(英文学者、同志社大学教授)
●訳者あとがき
出版社からのコメント
新人作家としては破格の注目を集め、一躍アメリカ文学界の最前線に立つ一人となったナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー。その視線は、ローカルな日常から近未来的なディストピアを照射し、全人類に根源的な問いかけを挑む。
音楽の世界ならケンドリック・ラマー(ラッパー初のピュリッツアー賞受賞者)やチャイルディッシュ・ガンビーノ(2019年度のグラミー賞受賞者)、映画・テレビの世界ならばジョーダン・ピール(『ゲットアウト』『アス』)やドナルド・グローヴァー(テレビドラマ『アトランタ』。チャイルディッシュ・ガンビーノと同一人物)など、新世代のアフリカ系アメリカ人クリエイターたちの感覚と呼応する、アメリカ文学界からのパワフルでシニカルでスリリングな一撃。
「ブラック・ライヴズ・マター」の過酷な現実に生きながら、日常SFともいえるようなシュールでストレンジな展開を生み出す想像力の豊かさやその筆力は、一度足を踏み入れた読者を引きずり込むような圧倒的な引力をもつ。
映像や音が浮かんでくるような臨場感のある物語体験と、根底に流れる強く深いメッセージ性を、身体で感じてください。
著者について
◎ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー
1991年、アメリカ・ニューヨーク州オールバニー出身。ガーナからの移民である両親のもとに生まれ育ち、十代の頃から文学に親しむ。ニューヨーク州立大学オールバニー校を卒業後、名門シラキュース大学大学院創作科で修士号を取得。2018年秋にアメリカ本国で刊行された今短編集は、新人作家のデビュー作ながら大きな注目を集め、シラキュース大の恩師であるジョージ・ソーンダーズをはじめ、ロクサーヌ・ゲイ等の作家に称賛され、『ニューヨーク・タイムズ』などのメディアでも高評価を得て、今後が最も期待される作家の仲間入りを果たした。今作の表題作は映画化も決定している。
◎押野 素子
翻訳家、ライター。東京都江東区出身。米・ワシントンD.C.在住。青山学院政治経済学部卒業後、レコード会社勤務を経てハワード大学ジャーナリズム学部卒業。訳書に『ヒップホップ・ジェネレーション[新装版]」(リットーミュージック)、『『MARCH 1 非暴力の闘い』(岩波書店)、マイケル・ジャクソン裁判』(スペースシャワーネットワーク)、『プリンス録音術』(DU BOOKS)等、著書に『禁断の英語塾』(スペースシャワーネットワーク)、『今日から使えるヒップホップ用語集』(スモール出版)がある。
出版社 : 駒草出版
発売日 : 2020/2/3
言語 : 日本語
単行本 : 328ページ