ストーリーが世界を滅ぼす――物語があなたの脳を操作する
ジョナサン・ゴットシャル (著), 月谷真紀 (翻訳)
なぜ私たちはあの人の論破にだまされるのか。
事実と物語は混ぜるな危険!
陰謀論とフェイクが溢れる世界で生き抜く「武器としての思考法」。
文明を築くのに一役を買ったストーリーテリング。その伝統あるストーリーテリングが近い将来文明を破壊するかもしれない。
ストーリーテリングアニマルである私たち人間の文明にとって、ストーリーは必要不可欠な道具であり、数え切れない書物がストーリーの長所を賛美する。
ところが本書の著者ジョナサン・ゴットシャルは、ストーリーテリングにはもはや無視できない悪しき側面があると主張する。
主人公と主人公に対立する存在、善と悪という対立を描きがちなストーリー。短絡な合理的思考を促しがちなストーリー。社会が成功するか失敗するかはそうしたストーリーの悪しき側面をどう扱うかにかかっている。
陰謀論、フェイクニュースなど、SNSのような新しいテクノロジーがストーリーを拡散させ、事実と作り話を区別することはほとんど不可能になった。人間にとって大切な財産であるストーリーが最大の脅威でもあるのはなぜなのか、著者は説得力をもって明らかにする。
「ストーリーで世界を変えるにはどうしたらいいか」という問いかけをやめ、「ストーリーから世界を救うにはどうしたらいいか」と問いかける書。
【目次情報】
序 章 物語の語り手を絶対に信用するな。だが私たちは信用してしまう
第1章 「ストーリーテラーが世界を支配する」
第2章 ストーリーテリングという闇の芸術
第3章 ストーリーランド大戦
第4章 「ニュース」などない。あるのは「ドラマ」のみである
第5章 悪魔は「他者」ではない。悪魔は「私たち」だ
第6章 「現実」対「虚構」
終 章 私たちを分断する物語の中で生きぬく
著者について
ジョナサン・ゴットシャル
ワシントン&ジェフーソン大学英語学科特別研究員
ジョナサン・ゴットシャル(Jonathan Gottschall)
ワシントン&ジェファーソン大学英語学科特別研究員。著書にニューヨーク・タイムズ紙エディター選に入った『The Storytelling Animal』(未邦訳)、ボストン・グローブ紙のベストブック・オブ・ザ・イヤーに選出された『人はなぜ格闘に魅せられるのか――大学教師がリングに上がって考える』(松田和也訳、青土社)がある。ペンシルヴァニア州ワシントン在住。
月谷 真紀(ツキタニ マキ)
翻訳家
翻訳家。上智大学文学部卒業。訳書に『ネクスト・シェアーーポスト資本主義を生み出す「協同」プラットフォーム』(東洋経済新報社)、『政府は巨大化するーー小さな政府の終焉』(日本経済新聞出版)、『わかりあえない他者と生きるーー差異と分断を乗り越える哲学』(PHP新書)、『自分で「始めた」女たち』(海と月社)、『大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学』(みすず書房)などがある。
出版社 : 東洋経済新報社
発売日 : 2022/7/29
言語 : 日本語
単行本 : 320ページ